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【NDフィルター活用術】カメラのサングラスで写真表現がワンランクアップ!

「肉眼では見ることができない世界」をカメラは映し出してくれる事を知っていますか?

どうもユキチです。
「もっと印象的な写真を撮りたいけど、どうすればいいかわからない」と悩むカメラ愛好家の方は少なからずおられるかと思います(私も未だにそうです…)
しかしそんな悩みの解決方法の一つとして、「NDフィルターの活用」がそのキーワードとなるかもしれません。

滝の流れがシルクのように滑らかな表現になっている写真や、夜の街に流れる無数の光跡。花火が何発もその光跡を残して綺麗に写っているシーンなど、後から加工したんじゃない?と思うような普段人間の目では見れないような写真を、一度は見たことがあるのではないでしょうか。
これらの写真はまぎれもなくあなたも実際に撮影可能な写真です。
しかしこれらの写真は、「NDフィルター」無しでは撮影できないシーンと言っても過言ではありません。

これ一枚で、幻想的な長時間露光や、明るい場所での美しいボケ味など、写真表現の幅が劇的に広がります。

この記事では、NDフィルターが初めての方でも安心して使い始められるように、その基本から選び方、具体的な使い方、そして感動的な写真が撮れる活用シーンまで、紐解いていきたいと思います。

それでは「NDフィルター」という「光を操る魔法のアイテム」にフォーカス!

目次

NDフィルターとは?光を操る魔法のアイテム

NDフィルターは、写真の世界において、あなたの表現力を飛躍的に高める可能性を秘めた、まさに「光を操る魔法のアイテム」です。しかし、「そもそもNDフィルターって何?」、「どんな時に使うの?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。まずは、その基本的な役割と仕組みから見ていきましょう。

NDフィルターの基本を知ろう

NDフィルターの役割と仕組み

NDフィルターの「ND」とは「Neutral Density(ニュートラルデンシティ)」の略で、「中立な濃度」を意味します。
その名の通り、光の色味に影響を与えることなく、均一に光の量を減らす(減光する)役割を持っています。

なぜ、わざわざ光を減らす必要があるのでしょうか?

それは、写真撮影における「露出の三大要素」であるシャッタースピード、絞り(F値)、ISO感度を、あなたの意図通りにコントロールするためです。

シャッタースピード

シャッターが開いている時間。長いほど多くの光を取り込み、被写体の動きがブレて写ります。

絞り(F値)

レンズの穴の大きさ。
小さい(F値が大きい)ほど光を取り込む量が減り、写真全体にピントが合います(被写界深度が深くなる)。
大きい(F値が小さい)ほど光を取り込む量が増え、背景がボケやすくなります(被写界深度が浅くなる)。

ISO感度

センサーの光に対する感度。高いほど暗い場所でも明るく撮れますが、ノイズが増えやすくなります。

これらのF値やシャッタースピードに関しては、以下の記事もご参考になさってください。

例えば、真昼の明るい場所で「流れる滝を絹のように滑らかに表現したい」場合、シャッタースピードを数秒単位で長くする必要があります。
しかし、そのままシャッタースピードを長くすると、光を取り込みすぎて写真が真っ白に飛んでしまいます(露出オーバー)。

ここでNDフィルターの出番です。NDフィルターを装着することで、カメラに入る光の量を物理的に減らし、シャッタースピードを長くしても適正露出で撮影できるようになるのです。

まるで、カメラにサングラスをかけるようなイメージですね。

ND値(減光効果)の種類と選び方

NDフィルターには、減光する量に応じて様々な「ND値」があります。ND値は、ND2、ND4、ND8、ND16、ND32、ND64、ND1000といった数字で表され、この数字が大きいほど減光効果が高まります。

具体的な減光効果は以下の通りです。

  • ND2:光量を1/2に減光(1段分)
  • ND4:光量を1/4に減光(2段分)
  • ND8: 光量を1/8に減光(3段分)
  • ND16:光量を1/16に減光(4段分)
  • ND32:光量を1/32に減光(5段分)
  • ND64:光量を1/64に減光(6段分)
  • ND1000:光量を1/1000に減光(約10段分)

「段」とは、写真の露出の単位で、1段変わると光量が2倍または1/2になります。例えば、ND8は3段分の減光効果があるので、シャッタースピードを3段分遅くしても、同じ明るさで撮影できるということです。

初心者におすすめのND値

まずはND8ND16あたりがおすすめです。これらは、渓流の水の流れや、少し雲の動きを表現したい時など、
比較的幅広いシーンで活用できます。

長時間露光に挑戦したい場合

日中の長時間露光や、人通りの多い場所から人を消したいといった用途では、ND64ND1000といった強力な減光効果を持つフィルターが必要になります。

どのND値を選ぶかは、どんな写真を撮りたいかによって変わってきます。
後述する活用シーンを参考に、ご自身の撮影スタイルに合ったフィルターを選んでみてください。

NDフィルターの種類と特徴

NDフィルターには、大きく分けて「丸型フィルター」と「角型フィルター」、そして「可変式NDフィルター」の3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の撮影スタイルや予算に合わせて選びましょう。

丸型フィルター
  • 特徴
    • レンズの前面にねじ込んで装着する、最も一般的なフィルターです。
      円形で、レンズのフィルター径に合ったものを選びます。
  • メリット
    • 比較的安価で手に入りやすい。
    • 装着が簡単で、持ち運びもコンパクト。
    • レンズ保護フィルターの上に重ねて装着することも可能(ただし、画質劣化のリスクは高まる)
  • デメリット
    • フィルター径が異なるレンズごとに揃える必要がある。もしくはステップアップリングなどが必要。
角型フィルター
  • 特徴
    • 四角いプレート状のフィルターを、レンズ前面に装着する「フィルターホルダー」に取り付けて使用します。
  • メリット
    • 一枚のフィルターを複数のレンズで使い回せる(フィルターホルダーの口径を合わせればOK)。
    • 複数のNDフィルターを重ねて装着できるため、より強力な減光効果や、他のフィルター(グラデーションNDフィルターなど)との併用がしやすい。
    • 撮影中にNDフィルターを素早く交換できる。
  • デメリット
    • フィルターホルダーとフィルター本体が必要なため、初期費用が高め。
    • システム全体が大がかりになり、携行性がやや劣る。
    • 光漏れ対策(フィルターとホルダーの隙間)に注意が必要。
可変式NDフィルター(バリアブルND)
  • 特徴
    • 2枚の偏光フィルターを重ね合わせることで、回転させるだけでND値を連続的に変化させられるフィルターです。ND2~ND400やND8~ND128など、製品によって減光範囲は異なります。
  • メリット:
    • 1枚で複数のND値をカバーできるため、複数のフィルターを持ち歩く必要がない。
    • 撮影中にND値を素早く調整できるため、動画撮影にも非常に便利。
  • デメリット:
    • 高価なものが多い。
    • 構造上、通常のNDフィルターに比べて画質劣化や色被り(カラーキャスト)が発生しやすい。
    • 減光効果を最大にした際に「クロス現象(X状のムラ)」が発生することがある。

NDフィルターの正しい使い方:基本のステップ

NDフィルターは、ただカメラに装着すれば良いというものではありません。

適切な準備と手順を踏むことで、最高の効果を引き出し、あなたの意図通りの写真に仕上げることができます。
ここでは、NDフィルターを使った撮影の基本ステップを詳しく解説します。

撮影前の準備:機材と設定の確認

NDフィルターを使った撮影は、通常の撮影とは少し異なる準備が必要です。以下のポイントを確認しておきましょう。

POINT
必要な機材
  • NDフィルター本体
    • 自身のレンズフィルター径に合ったもの、または角型フィルターとホルダー。
  • 三脚
    • 長時間露光では必須です。カメラをしっかりと固定できる安定性の高いものを選びましょう。
  • レリーズ(リモートシャッター):
    • シャッターを押す際の振動によるブレを防ぐために使います。有線・無線タイプ、またはカメラのセルフタイマー機能でも代用できます。
  • レンズ:
    • NDフィルターを使用したいレンズ。
  • その他:
    • 光漏れ対策用の黒い布(ND1000などの強力なフィルター使用時)。
POINT
カメラの設定
  • 撮影モード
    • NDフィルターを使った撮影では、ご自身で露出をコントロールする必要があるため、カメラのM(マニュアル)モードでの撮影を強く推奨します。
  • シャッタースピード
    • 目標とする表現に合わせて、まずはフィルターなしで最適なシャッタースピードをイメージしておきましょう。
  • 絞り(F値)
    • 被写界深度(ボケ具合)を考慮して設定します。風景ならF8~F16程度、ポートレートならF1.4~F4程度。
  • ISO感度
    • ノイズを最小限に抑えるため、ISO100など最低感度に設定するのが基本です。
  • ホワイトバランス
    • オートホワイトバランス(AWB)でも構いませんが、色被りが気になる場合は、太陽光や曇天など、シーンに合わせたプリセットを選ぶのも良いでしょう。RAW撮影であれば、後から柔軟に調整できます。
  • ピクチャースタイル(またはフォトスタイル)
    • ニュートラルやスタンダードなど、派手すぎない設定がおすすめです。RAW撮影であれば、後処理で自由に変更できます。
  • 手ブレ補正機能
    • 三脚を使用する場合は、手ブレ補正機能(レンズ内手ブレ補正/ボディ内手ブレ補正)をOFFにしてください。ONのままだと、三脚の振動を補正しようとしてかえってブレが発生する可能性があります。

NDフィルター装着から撮影までの流れ

必要な機材が準備できたところで、NDフィルターを使った撮影手順を見ていきましょう。

STEP
フィルターなしで構図と露出を決定
  • NDフィルターを装着せず、カメラを三脚にセット。
  • 通常の撮影時と同じように構図・ピント・露出を決定する。この際にピント合わせはしっかりとしておく事(NDフィルター装着後はオートフォーカスが効きづらくなるため)
  • フォーカスはマニュアルフォーカスがおすすめ(MF)
  • 目標とするシャッタースピードをイメージし、その時に最適な絞り、ISO感度で適正露出になるシャッタースピードを把握しておく。
STEP
NDフィルターを装着
  • ピント、露出が決まったらNDフィルターを装着。
  • 丸型フィルターはフィルター径に合ったものを選択し、全面のネジに沿って回し入れる。
  • 角型フィルターはフィルターホルダーをレンズに装着し、ホルダーにフィルターを装着する。
STEP
シャッタースピードの再計算

NDフィルターを装着したことで、カメラに入る光量が減りました。そのため、適正露出を得るためにシャッタースピードを延長する必要があります。

  • 計算方法:
    「フィルターなしでのシャッタースピード × ND値」で計算できます。
    例:フィルターなしで1/30秒、ND8フィルター(減光効果8倍)を使用する場合
      1/30秒 × 8 = 約1/4秒
    例:フィルターなしで1/250秒、ND1000フィルター(減光効果1000倍)を使用する場合
      1/250秒 × 1000 = 約4秒

最近では、スマートフォンアプリでNDフィルターの露出計算ができるものも多いので、活用すると便利です。

STEP
試し撮りと微調整
  • 計算したシャッタースピードを設定し、レリーズを使ってシャッターを切る。
    レリーズの代わりに、カメラのタイマー機能や現在ではアプリの連携でスマホからシャッター操作が可能な機種もあります。
  • 撮影後画像を確認し、特にヒストグラムを見て露出が適正か確認する。
    必要に応じて、シャッタースピードを微調整。

このような流れで撮影を行います。
フィルター装着後のシャッタースピード設定がポイントとなるかと思いますが、スマホアプリで手軽に目安を計算できるため、活用していきましょう。

NDフィルター活用シーン別:劇的に変わる写真表現

NDフィルターは、あなたの写真表現の幅を驚くほど広げてくれます。ここでは、具体的な活用シーンごとに、どのような写真が撮れるのか、適切なNDフィルター濃度や撮影のコツを交えながら解説していきます。

シーン1:流れる水の表現(滝、渓流、海)

目的

滝や渓流の水を絹のように滑らかに、海の波を幻想的な霧のように表現する。
時間の流れを写真に封じ込めることで、肉眼では見えない美しさを引き出します。

必要なND値の目安
  • 曇りの日や日陰の渓流など、比較的暗い場所:ND8~ND32
  • 日中の明るい滝や海辺:ND64~ND1000
  • シャッタースピードの目標:0.5秒~数秒程度。水の流れの速さや、どの程度の滑らかさを表現したいかによって調整します。
撮影のコツ
  • 三脚とレリーズは必須
    長時間露光になるため、手ブレを完全に防ぐためにこれらは欠かせません。
  • 最適なシャッタースピードの見つけ方
    まずNDフィルターなしで構図とピントを合わせ、絞り(F8~F16程度)とISO感度(最低感度)を設定します。この状態でシャッタースピードを遅くしていき、モニターで水の流れを確認しながら、目標とする滑らかさになるシャッタースピードを見つけます。
  • 水しぶきの描写
    あまりにシャッタースピードを長くしすぎると、水のディテールがなくなり、のっぺりとした印象になることがあります。水の勢いや被写体に合わせて、0.5秒~2秒程度のシャッタースピードがバランスが良い場合が多いです。
  • RAW撮影の推奨
    水辺の撮影では、光の反射やコントラストが強く出る場合が多いため、RAWで撮影しておくと、後処理での調整がしやすくなります

シーン2:動きのある被写体の軌跡(車の光跡、雲の流れ)

UnsplashSimone Muzziが撮影した写真
目的

夜景に車のヘッドライトやテールライトの光跡を写し込んだり、昼間の空に流れる雲の動きを強調してドラマチックな風景を創り出したりする。

必要なND値の目安
  • 車の光跡(夜景)
    NDフィルターなし、またはND2~ND4(露光時間を少しだけ伸ばしたい場合)。
    通常、夜景は光量が少ないため、NDフィルターは不要なことが多いですが、街の明るさやライトの量によっては使用を検討します。
  • シャッタースピードの目標:数秒~数十秒。
  • 雲の流れ(日中)
    ND64~ND1000。日中の明るい空で長時間露光するため、強力な減光が必要です。シャッタースピードの目標:数秒~数分。
撮影のコツ
  • 車の光跡
    三脚を使い、絞りF8~F16程度、ISO100~400で、シャッタースピードを調整します。車の交通量が多い交差点やS字カーブが狙い目です。シャッタースピードを長くしすぎると、光跡が強くなりすぎてしまうこともあるので、バランスを見ながら調整しましょう。
  • 雲の流れ
    広角レンズを使うと、空の広がりと雲の動きをよりダイナミックに表現できます。ND1000などの強力なフィルターを使う際は、光漏れに特に注意し、ファインダーを塞ぐなどの対策を忘れずに。

シーン3:日中の長時間露光(幻想的な風景、人混みを消すなど

目的

日中の明るい時間帯に、水面を鏡のように滑らかにしたり、雲を幻想的に流したりする。
または、観光地や繁華街で、通行人の写り込みをなくして建築物や風景を際立たせる。

必要なND値の目安
  • 人混みを消す、日中の風景
    ND64~ND1000。数秒~数分といった非常に長いシャッタースピードが必要になります。
  • シャッタースピードの目標:10秒~数分。
撮影のコツ
  • 最も強力なNDフィルターを活用
    ND1000は「真っ黒フィルター」とも呼ばれ、日中でも肉眼では真っ暗に見えるほどの減光効果があります。これにより、動いている被写体(人、車など)は露光中に移動し続けているため、写真には写り込まず、まるで消えたかのように表現されます。
  • 光漏れ対策の徹底
    一眼レフ機において特にND1000を使う場合、ファインダーからの光漏れに注意です。
    ファインダーのアイピースシャッターを閉じるか、黒い布などで覆い、光が入らないようにしましょう。
    また、レンズとフィルターの隙間も要注意です。
  • ピント合わせは慎重に
    フィルター装着後はファインダーがほとんど見えなくなるため、フィルター装着前に正確にピントを合わせ、マニュアルフォーカスに切り替えておくことが極めて重要です。

シーン4:絞り開放での撮影(ポートレート、花)

目的

明るい場所で絞りを開放(F値を小さく)し、背景を大きくぼかして主題を際立たせる。

必要なND値の目安
  • 日中のポートレート、花のマクロ撮影
    ND2~ND8。わずかにシャッタースピードを調整したい場合に使います。
  • シャッタースピードの目標
    1/100秒~1/250秒程度(一般的な手持ち撮影でブレにくいシャッタースピード)。
撮影のコツ:
  • 明るい単焦点レンズとの組み合わせ
    F1.4やF1.8といった明るいレンズを使用し、背景を大きくぼかしたい場合にNDフィルターが役立ちます。
  • シャッタースピードを適正に保つ
    晴天の日中、絞りを開放するとシャッタースピードが速くなりすぎてしまい、ストロボを使いたい場合などに同調速度を超えてしまうことがあります。また、カメラによっては高速シャッターでの撮影時にローリングシャッター現象が目立つことも。NDフィルターを使うことでシャッタースピードを少し遅くし、適切な範囲に収めることができます。
  • 作例のイメージ:
    • 柔らかな光に包まれ、背景が大きくボケたポートレート写真。
    • 主役の花がくっきりと浮かび上がり、背景が美しくとろけるようにボケているマクロ写真。

シーン5:動画撮影での活用

目的

強い光の中でも適切なシャッタースピードを維持し、なめらかな映像を撮る。

必要なND値の目安

撮影環境の光量や、設定したいフレームレートによって大きく異なりますが、可変式NDフィルターが特に便利です。

撮影のコツ
  • フレームレートに合わせたシャッタースピードの基本
    動画撮影では、一般的に「フレームレート(fps)の2倍のシャッタースピード」が最も自然な動きを表現できるとされています(例:24fpsなら1/50秒、30fpsなら1/60秒)。
    しかし、日中の屋外でこれを実現しようとすると、絞りを開放した場合に露出オーバーになってしまいます。
  • NDフィルターでシャッタースピードをコントロール
    NDフィルターを使用することで、明るい場所でも上記の原則に基づいたシャッタースピードを維持しつつ、F値をコントロールして適切な露出と被写界深度を得ることができます。
  • 可変式NDフィルターの利便性
    動画撮影では光の状況が頻繁に変わるため、ND値を素早く調整できる可変式NDフィルターが非常に重宝されます。

NDフィルター選びのポイントと注意点

NDフィルターは、使い方次第であなたの写真表現を大きく広げる強力なツールですが、選び方や使用上の注意点を押さえておかないと、思わぬ失敗につながることもあります。ここでは、自分に合ったフィルター選びと、トラブルを避けるためのポイントを解説します。

自分に合ったNDフィルターの選び方

フィルター径の確認
  • レンズのフィルター径を確認する
    レンズの先端やキャップの裏側などに「φ〇〇mm」と記載されています。
    丸型フィルターは、このフィルター径に合ったものを選ぶ必要があります。
  • 「ステップアップリング」の活用
    複数のフィルター径のレンズをお持ちの場合は、最も大きいフィルター径のNDフィルターを購入し、それより小さいレンズには「ステップアップリング」を使って対応することも可能です。
品質と価格

NDフィルターは、安価なものから高価なものまで様々です。安価なフィルターは、以下のようなデメリットがある場合があります。

  • 色被り(カラーキャスト)
    写真全体に特定の色(緑やマゼンタなど)が強く出る現象。
  • 画質劣化
    解像度が低下したり、コントラストが失われたりする。
  • 光漏れ
    フィルターの枠やコーティングが不十分で、不要な光が入り込む。
    特に長時間露光を目的とする場合は、信頼できるメーカーの製品を選ぶことを強くおすすめします
おすすめメーカーの例
  • K&F Concept
    比較的リーズナブルで品質も安定しており、初心者から中級者まで幅広く人気。
  • H&Y
    高品質な角型フィルターシステムで定評があり、マグネット式フィルターなど革新的な製品も。
  • NiSi
    高精度なガラスと高品質なコーティングが特徴で、プロにも愛用者が多い。
    若干高価な印象だがそれに見合った性能。
  • Kenko
    国内の老舗メーカーで、安定した品質と幅広いラインナップが魅力。
    ND以外のフィルターも豊富。
  • マルミ(MARUMI)
    国内メーカーならではの高品質な製品が揃っています。

NDフィルター使用時の注意点

NDフィルターは非常に便利なツールですが、使用する上でいくつか注意しておきたい点があります。

色被り(カラーキャスト)の対処法

特に可変式NDフィルターや安価なNDフィルター、強力な減光効果を持つND1000などでは、写真全体に特定の色味(マゼンタや緑など)が被ってしまう「カラーキャスト」が発生することがあります。
これはフィルターの品質や特性によるものですが、RAWで撮影しておけば、現像ソフトでホワイトバランスや色温度、色かぶり補正などを調整することで、ある程度修正が可能です。

光漏れ(一眼レフ機使用時・ND1000など強いフィルター使用時)

一眼レフカメラを使用して、非常に強いNDフィルター(ND1000など)を使用して長時間露光を行う際、ファインダーから光が侵入し、それが写真に写り込んでしまう「光漏れ」が発生することがあります。
これを防ぐためには、以下のような対策が必要です。
ファインダーのアイピースシャッターを閉じる
黒い布やキャップでファインダーを覆う     など

※ミラーレスカメラの場合は構造上ファインダーからの光の漏れはありません。

レンズフレア・ゴーストの発生:

NDフィルターはレンズの前面に装着するため、強い光源(太陽など)が画面内にある場合、レンズフレア(光の筋)やゴースト(光の玉)が発生しやすくなることがあります。
これを軽減するためには、レンズフードを使用したり、光源の位置を調整したりするなどの工夫が必要です。

ピント合わせの難しさ

NDフィルターを装着すると、ファインダーやライブビュー画面が暗くなり、オートフォーカス(AF)が効きにくくなることがあります。
前述したように、フィルター装着前にしっかりとピントを合わせておき、マニュアルフォーカス(MF)に切り替えてから撮影するのが基本です。

フィルターの組み合わせ

NDフィルターと合わせて、「偏光フィルター(PLフィルター)」を併用することもよくあります。
PLフィルターは、水面やガラスの反射を除去したり、空の青さを強調したりする効果があります。
両方を組み合わせることで、より複雑な光のコントロールが可能になります。
ただし、複数のフィルターを重ねると、画質劣化のリスクやケラレ(写真の四隅が暗くなる現象)が発生しやすくなるため、注意が必要です。

手入れと保管

NDフィルターもレンズと同様に、指紋やホコリ、水滴などが付着すると画質劣化の原因となります。
撮影後や使用前に、ブロアーでホコリを飛ばし、マイクロファイバークロスなどで優しく拭き取りましょう。また、保管の際は専用のケースに入れ、衝撃や傷から守るようにしてください。

まとめ:NDフィルターであなたの写真表現は無限大に広がる

この記事では、NDフィルターの基本的な役割から選び方、使い方、そして様々な活用シーンまでの情報をお届けしてきました。

NDフィルターは、単に「光を減らす」だけの道具ではありません。

それは、肉眼では捉えられない「時間の流れ」を写真に封じ込めたり、明るい場所での「ボケ」を意図通りにコントロールしたりと、あなたの写真表現の可能性を無限に広げる魔法のアイテムです。

渓流を絹のように滑らかに写し、人混みを消して静寂な風景を創り出し、夜景に光の軌跡を描き、そして日中のポートレートで美しいボケ味を演出する。これら全てが、NDフィルターがあれば実現できます。

NDフィルターを使いこなすことで、今まで「こんな写真が撮れたらいいのに…」と憧れていた写真が、あなたの手で生み出せるようになります。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、何度も試行錯誤を繰り返すうちに、きっとあなただけの表現方法が見つかるはずです。

あなたもぜひNDフィルターを手に取って、新たな写真の世界へ一歩踏み出してみてください。

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この記事を書いた人

カメラを愛するオジサン
素人ならではの視点で、カメラや関連機材・ガジェットにフォーカスしていきます。

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