2025年8月28日より富士フィルムのX-Eシリーズ待望の最新作、「X-E5」が発売となりました。

前作の「X-E4」がストイックなまでのミニマルさを全面に打ち出し、その価格もレンズ交換式一眼カメラとしては当初かなり手頃であったため、爆発的に売れました。
にもかかわらず、絶頂期に突然のディスコン状態となり、今では中古でも当時の新品価格を大きく上回るレア機となっています。
そんなX-E4の後継機として満を持して登場した「X-E5」
今回中身も外観もそして価格も大きくグレードアップして登場しましたが、富士フィルムのサイトでスペックだけを確認してみると、やはり最新世代のセンサーと処理エンジンを搭載して来ましたね。
ここで比較してみたくなるのが同センサー・同処理エンジンを搭載するX-Tシリーズのフラグシップとも言うべき
「X-T5」です(私の愛機でもあるので・・・)
同じセンサー・処理エンジン故にどちらが良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
今回は同じ富士フィルムのカメラであり一見同等のスペックかと思われる「X-E5」と「X-T5」についてお互いの共通点を確認しつつ、決定的な違いを洗い出してみたいと思います。
「X-E5」とはどのようなカメラなのか、またX-T5ユーザーにとってX-E5の存在意義は?といった事を明らかにしてみたいと思います。
X-E5の購入を検討している方や、X-T5とどちらにしようか迷っているといった方に、一つの指標となるような記事になればと思っています。
それでは「X-E5とX-T5の違い」にフォーカス!
「撮影スタイル」の違いを理解しよう!
「X-E5」と「X-T5」の違いを理解するキーワードは「撮影スタイル」とか「コンセプト」という部分を意識して見ると、明確に違いが見えてきます。
断言的に述べると、「X-E5」と「X-T5」は同世代の技術的基盤を共有しながらも、製品としての「コンセプト」それに基づく「スタイル」が全く異なる、対照的とも言えるモデルです。
両機ともセンサーや処理エンジン、富士フィルムカメラの代名詞とも言えるフィルムシュミレーションも同じものを搭載し、撮って出てくる画質に関しては同等と言えます。
しかし両機が想定する「コンセプト」「スタイル」に関しては、全く別と言って良いほどの違いが見られます。
具体的には以下のような特徴を見ることができます。
- X-E5
-
- レンジファインダースタイルで小型軽量。
- ミニマルかつカジュアルな外観でアルミ切削加工の筐体が所有欲を掻き立てる。
- 日常的な携帯性を備え、撮る楽しさを追求。
- X-T5
-
- センターファインダースタイル
- 軍艦部にはクラシカルかつ設定が即座に確認できるダイヤルオペレーション搭載
- 本格的な写真撮影ができる機能を備えた、フォトグラフィーファーストを謳う機種
- どんな撮影シーンにも対応し、シャッターチャンスを逃さないための機能が満載。
このように、X-E5とX-T5は根本的な設計思想が違うカメラだということが分かるかと思います。
よって「X-E5」は、既にX-T5を所有する筆者のようなユーザーでも、その気軽さやカジュアルさに憧れるような魅力を備えた1台であり、両機とも決してどちらかがあるから必要なしとは言い切れないカメラと言えます。

意外と差がある両機のスペック
両機のコンセプトの違いを結論的に述べましたが、その根拠たるスペックの違いにもう少しフォーカスして細かく見てみましょう。
以下の表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
・・・・が両機を比べて優位性がある部分。
・・・・が両機が共通する部分としてマーカーしてみました。
項目 | FUJIFILM X-T5 | FUJIFILM X-E5 |
撮像素子 | 約4020万画素 X-Trans CMOS 5 HR | 約4020万画素 X-Trans CMOS 5 HR |
画像処理エンジン | X-Processor 5 | X-Processor 5 |
手ブレ補正(IBIS) | 5軸、7.0段 | 5軸、中央7.0段 周辺6.0段 |
メカシャッター最高速度 | 1/8000秒 | 1/4000秒 |
電子シャッター最高速度 | 1/180000秒 | 1/180000秒 |
連写速度(電子) | 約20コマ/秒 (1.29倍クロップ) | 約20コマ/秒 (1.29倍クロップ) |
連写速度(メカ) | 約15コマ/秒 | 約8コマ/秒 |
EVF (ドット数/倍率) | 約369万ドット / 0.8倍 | 約236万ドット / 0.62倍 |
液晶モニター | 3.0型 3方向チルト式 約184万ドット | 3.0型 上下チルト式 約104万ドット |
防塵防滴 | 対応 (-10℃耐低温) | 非対応 |
SDカードスロット | 2基 (UHS-II対応) | 1基 (UHS-II対応) |
バッテリー | NP-W235 | NP-W126S |
撮影可能枚数 | 約580~740枚 | 約310枚 |
本体重量 | 約557g | 約445g |
デジタルテレコンバータ | 1.4×・2.0×・OFF | 1.4×・2.0×・OFF |
ファインダースタイル | センターファインダースタイル | レンジファインダースタイル |
こうして表にして比較すると、全く同じという共通点は意外と少ない事がわかります。
撮影に対し様々なシーンやシャッターチャンスを逃さないためのスペックと感じ取れる「X-T5」
最新の高画素センサー、処理エンジンを搭載しながら小型軽量を突き詰めた事を伺わせる「X-E5」
それぞれのコンセプトがこの比較表から感じ取ることができると思います。

2. X-E5とX-T5の「共通の強み」を徹底解説
X-E5とX-T5は、異なるコンセプトを持つカメラでありながら、同じ最新のセンサーとプロセッサーを搭載しているため、基本的な写真性能においては共通の強みを持っています。
この「共通の強み」こそが、どちらのカメラを選んでも後悔しない理由となります。
センサー・処理エンジンをはじめ、共通の強みとなる部分を細く見ていきましょう。
X-Trans™ CMOS 5 HRセンサーとX-Processor 5がもたらす高画質
両機種に搭載されている「X-Trans™ CMOS 5 HR」センサーは、有効画素数4020万画素という驚異的な解像度を誇ります。これにより、細部までシャープに描写された高精細な写真を撮影することができます。
さらに、最新の「X-Processor 5」との組み合わせにより、ノイズを抑えつつ、豊かな階調表現と優れた色再現性を実現しています。
この高画質は、特に風景写真やポートレート、そして拡大して細部をチェックしたい場合に大きなメリットとなります。どちらの機種を選んでも、写真の仕上がりに妥協する必要はありません。
第5世代のAF性能
最新のAFアルゴリズムとディープラーニング技術によって、動体予測性能が飛躍的に向上しました。
これにより、人物や動物、乗り物など、さまざまな被写体を正確に捕捉し続けます。
特に、動画撮影時においても被をしっかりと捉え続けるため、よりクリエイティブな表現が可能です。
富士フィルムの映像表現技術
「富士フィルムといえば」な映像表現技術も両機に搭載される重要な要素です。
代表的な機能を挙げて見ましょう。
フィルムシュミレーション
FUJIFILMの大きな魅力である「フィルムシミュレーション」も、両機種に共通して搭載されています。

往年の各種フィルムで撮影したかのような色合いが撮って出しで撮影できる富士フィルム謹製の色再現技術。
「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」といった定番のものから、「クラシックネガ」「ノスタルジックネガ」などの個性的なもの、更に最新の「REALA ACE」まで20種類のフィルムシュミレーション。
撮影シーンに合わせて様々な色調や雰囲気を楽しむことも両機共通な機能として見逃せません。
カラークロームエフェクト・カラークロームブルー
赤・黄・緑などの彩度が高く階調が出にくい色合いに深みを与え、作品に奥行きや鮮やかさを表現させる「カラークロームエフェクト」と青に特化した「カラークロームブルー」の設定も両機とも可能となっています。
グレイン・エフェクト
画像に粒状感を与えて、フィルム調の表現を与える「グレイン・エフェクト」も富士フィルム機ならではの共通機能として搭載しています。

X-Eシリーズ初の手ぶれ補正機能
X-E5は、X-Eシリーズとして初めてボディ内手ぶれ補正(IBIS)を搭載しました。
これにより、薄暗い場所や手持ちでの撮影でも、ブレを抑えたシャープな写真を撮影することが可能になります。
X-T5も同じく強力な手ぶれ補正機能を備えているため、どちらの機種でも、より安心して撮影に集中することができるでしょう。

高画素がもたらす恩恵:デジタルテレコン
4020万画素という高画素を活かし、両機種にはデジタルテレコン機能が搭載されています。
この機能を使用すると、光学ズームのように画像を拡大して撮影することができます。
画質を劣化させることなく焦点距離を伸ばせるため、望遠レンズを持っていない場合や、荷物を減らしたい旅行時などに非常に役立ちます。
単焦点レンズ一本でも通常の画角から1.4倍、2倍と段階的にクロップして撮影が可能です。
高速電子シャッター
メカシャッターこそ両機に差がありますが、電子シャッターに関しては、最高1/180,000秒という超高速シャッタースピードを実現しています。
これにより、明るい日中の屋外でも大口径レンズを開放で使ったり、一瞬の動きを捉えたりすることが可能です。
3. 両機の「決定的な違い」を深掘りする
ここからは、X-E5とX-T5のコンセプトの違いを決定づける、それぞれの「決定的な違い」を詳しく見ていきましょう。
デザインと操作性:実用性のX-T5 vs 携帯性のX-E5
X-E5は、レンジファインダースタイルのシンプルで美しいデザインが特徴です。
露出補正ダイヤルやシャッタースピードダイヤルが排除され、より直感的に操作できるシンプルなUIを採用しています。
一方、X-T5は、シャッタースピード、ISO感度、露出補正の3つのダイヤルを上面に備えたクラシカルなデザインです。これにより、カメラの電源を入れずに設定を変更できるため、より素早く撮影に移行することができます。
実用性のX-T5
X-T5は、撮影現場での実用性を徹底的に追求したカメラです。
防塵防滴性能を備えているため、雨や埃の多い過酷な環境でも安心して使用できます。
さらに、UHS-II対応の高速SDカードスロットを2つ搭載しており、データの書き込み速度が速いだけでなく、バックアップとしても利用できるため、プロの現場でも安心して使用できます。
携帯性のX-E5
X-E5は、約450gという軽量・コンパクトなボディが最大の魅力です。
これにより、日常的にカバンに入れて持ち歩き、いつでも気軽に撮影を楽しむことができます。
特に、ストリートスナップや旅行、散歩の際に、重さを気にせず撮影できるのは大きなメリットです。
ファインダーとモニター:撮影体験の根本的な差異
X-T5は、約369万ドットの高精細なEVFを搭載しており、撮影時の見やすさは圧倒的です。
また、3方向チルト式の液晶モニターは、縦位置でのローアングル撮影やハイアングル撮影にも対応し、様々なアングルでの撮影を可能にします。
一方、X-E5は、約236万ドットのEVFとチルト式の液晶モニターを搭載しています。
3方向チルトには対応していませんが、上に180度持ち上げる事ができるため、VLOGの自撮りなどが撮影しやすくなっています。
ただし日常的な撮影には十分な性能ですが、X-T5と比較すると、より本格的な撮影体験を求める場合は物足りなさを感じるかもしれません。
耐久性とスタミナ:プロの信頼性か、日常の気軽さか
X-T5は、バッテリーに大容量のNP-W235を採用しており、長時間の撮影でも安心して使用できます。
また、耐久性の高いボディと防塵防滴性能を有し、耐低温−10℃とプロの過酷な撮影現場でも信頼できる道具となります。
対して、X-E5は、小型化のためにバッテリー容量がNP-W126Sに抑えられています。そのため、長時間の撮影を予定している場合は、予備バッテリーが必須となります。
まとめ
X-E5とX-T5は、同じX-Trans™ CMOS 5 HRセンサーとX-Processor 5を搭載しているため、高画質という点では共通しています。しかし、そのコンセプト、スタイルは全く異なります。
X-T5は、高精細なファインダー、多機能なモニター、防塵防滴性能、そして大容量バッテリーを備えた、本格的な撮影を求めるクリエイター向けのツールにもなるカメラです。
風景写真やポートレート、そして動画撮影など、様々なジャンルで活躍します。
一方、X-E5は、軽量・コンパクトなボディに最新の性能を詰め込んだ、「日常の相棒」となるカメラです。
いつでもどこでも持ち歩き、気軽にシャッターを切ることを楽しみたい方におすすめです。
あなたの撮影スタイルはどちらに当てはまりますか?
もし、本格的な撮影を追求したいのであればX-T5を、日常を切り取るように気軽に撮影したいのであればX-E5を選ぶと、後悔しないカメラ選びができるかと思います。
最後の最後で言うのもなんですが、あとはお値段両機ともお高めですので、お財布とのご相談を忘れずに・・・。
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