「旅行にどのレンズを持っていこうか、広角か望遠か・・・全部持ってくか?」
「子供の運動会、近くも遠くも撮りたいけど、レンズ交換する暇無いよな・・・」
「もう!レンズ一本で済ませたい!」
そんな悩みを一気に解決してくれる「魔法のようなレンズ」がタムロンから出ています。
それが、「TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) 」です。
このレンズ1本で、広角18mmから超望遠300mmまで、驚異の16.6倍ズームを実現!
まるで魔法の杖のように、撮りたい画角に一瞬で変化させられます。
今回は私がFUJIユーザーのため「富士フィルムXマウント」に特化しますが、カメラユーザー必見の高倍率ズームレンズを、2年ほど使用してきた筆者の率直な感想を、長期使用レビューとして本記事にまとめたいと思います。
先日カメラ・レンズメーカーのSIGMAより、これまた魅力的な最新の高倍率ズームレンズ「CONTEMPORARY
16-300mm F3.5-6.7DC OS」も発表され、気になっている方もいるかと思います。
高倍率ズームレンズ熱も再燃しそうですし、今回はスペックの比較だけとなりますが、TAMRONのレビューも合わせて参考にして頂き、どちらが良いか検討するのも楽しみかと思います。
これから高倍率ズームレンズの購入を検討している方の参考になれば幸いです。
それでは「TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) 富士フイルムXマウント用」にフォーカス!
基本スペック
まずはお決まりのスペック紹介から。
今回はあくまでTAMRONの高倍率ズームレンズのレビューですが、新しいSIGMAの高倍率ズームのスペックも気になるでしょうから、この際頑張って掲載しておきます。
項目 | TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) | SIGMA CONTEMPORARY16-300mm F3.5-6.7DC OS |
---|---|---|
焦点距離 | 18mm -300mm | 16mm-300mm |
F値 | F3.5~6.3 | F3.5~6.7 |
画角(対角) | 77°24′-5°30′ | 83.2-5.4° |
レンズ構成 | 15群19枚 | 14群20枚 |
最短撮影距離 | 広角端:0.15m / 望遠端:0.99m | 広角端:0.17m/望遠端:1.05m |
最大撮影倍率 | 広角端:1:2 / 望遠端:1:4 | 1:2 (焦点距離70mm時) |
フィルター径 | φ67mm | φ67mm |
長さ | 125.6mm | 123.7mm |
質量 | 620g | 615g |
絞り羽根枚数 | 7枚 (円形絞り) | 9枚 (円形絞り) |
対応マウント | 富士フイルムXマウント ソニーEマウント | L マウント、ソニー E マウント、 富士フイルム X マウント、 キヤノンRFマウント |
手ブレ補正機構 | VC (Vibration Compensation) 搭載 | 手ブレ補正アルゴリズムOS2 |
AF駆動方式 | VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive) リニアモーターフォーカス機構搭載 | リニアモーター HLA(High-response Linear Actuator) |
その他 | 簡易防滴構造、防汚コート | 防塵防滴構造・撥水防汚コート |
希望小売価格 | 96,800円 | ¥118,800(オンラインショップ) |
TAMRONのズーム倍率は16.6倍、SIGMAは18.8倍とSIGMAがミラーレスレンズにおいてのズーム倍率世界初を更新しての登場のようです。
広角16mm(35mm換算24mm)始まりは魅力的ですね。また対応マウントもSIGMAの方が多彩で、広いユーザーに支持されそうです。
しかしTAMRONも望遠端のF値や最短撮影距離、そして何より価格面においてSIGMAに優位な部分もあり、こちらも魅力的なレンズに違いありません。
外観・装着感
スペック表でも確認頂いた通り、この「TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) 」は軽量コンパクトな高倍率ズームレンズですが、外観や実際にカメラへ設置した装着感が気になるかと思います。
レンズ本体及び、我が家の富士フィルムX-T5への装着感を写真でご確認ください。

タムロン公式サイトより
広角端でこのように鏡筒はコンパクトに収納されます。
鏡筒にはズームした際の焦点距離が表示されており、レンズの先の部分がズームリングとなっています。
あとマニュアルフォーカス時のフォーカスリングが設置されており、Xマウントレンズに多い「絞りリング」は搭載されていません。
よってF値の調整は本体側のコマンドダイヤルに割り当てるなどの対応が必要です。
また本体の中程に鏡筒が勝手に伸びてしまわないようにするためのロックスイッチが設置されています。
では実際の装着感はこちら。


持った感じは確かにズッシリ感はありますが、それほどフロントヘビーではなく、むしろ丁度よい装着感です。
望遠にするほど鏡筒は伸び、若干ブサイクにはなりますが、まあ・許容範囲な感じ。
TAMRON18-300mm
F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDのメリット的特徴
いよいよ本題のレビューです。
このレンズのメリットとなる特徴を詳しく見ていきましょう。
16.6倍の高倍率ズーム
まずは広角端18mmから望遠端300mmまで16.6倍を誇るズーム域です。
しかも忘れてはいけないのがAPS-Cセンサー用の高倍率ズームとなりますので、フルサイズ35mm換算で27mmから450mmの焦点距離となります。
広角で広い風景や集合写真、標準から中望遠域で日常スナップやポートレートなど、超望遠で運動会や野鳥撮影までと様々な場面に対応できる焦点距離を持っています。
F値は3.5から始まり、望遠端の開放値は6.3となり、一見ポートレートなどでボケ感に心配するかもしれませんが、焦点距離が300mmまであるので、望遠域で撮影すれば背景のボケは単焦点レンズの開放値に劣らないものとなります。
まさに全部入りなレンズと言えます。
F値は3.5から始まり、望遠端の開放値は6.3となり、一見ポートレートなどでボケ感に心配するかもしれませんが、焦点距離が300mmまであるので、望遠域で撮影すれば背景のボケは単焦点レンズの開放値に劣らないものとなります。
まさに全部入りなレンズと言えます。
これ一本で済むと思えば、持ち歩く荷物も減らせるでしょうし、レンズ交換の手間も省けます。
以下、高倍率ズームの威力をご覧ください。
同じ場所で広角端から望遠端まで段階ごとに撮影してみました。






(換算630mm)
驚くべき最短撮影距離
このレンズで特筆すべき点として、最短撮影距離が驚異的である事を特筆したいと思います。
最短撮影距離というのは厳密に言うと、カメラセンサーから被写体までの距離で、ピントが合う最短距離となります。この距離より被写体が近いとピントが合わなくなります。
ただしこのレンズは広角端で0.15m(15cm)という事ですので、カメラに装着した際にはレンズギリギリくらいまで寄れる事になります(レンズ面から5mmくらいまで寄れます)
また被写体の実際の大きさと、センサー上の像の大きさを表す最大撮影倍率も広角端で1:2となり、いわゆるハーフマクロでの撮影が可能となります。
正直寄れすぎて被写体がレンズに当たらないように注意が必要なほどです(実際にメーカー公式でも注意喚起されています)
18mm(換算27mm)の広角でここまで寄れると、「主題となる被写体に寄りながら背景も広く写し込める」など、表現方法においても多彩なバリエーションを活かして撮影することができます。


超望遠なのに軽量
望遠レンズといえば三脚座などが設置されており、バカでかい仕様のものを思い浮かべます。
しかしこのレンズは軽量かつコンパクトに収まっており、重さは620g。ペットボトル約1本分+αの重さと表現したほうがわかりやすいでしょうか。
私は富士フィルムのX-T5を愛機として使用していますが、広角端での装着感はそれほどフロントヘビーにもならず、むしろ丁度いい感じになります。
超望遠レンズにしてこの軽さ、コンパクトさがこのレンズをより特別な一本に仕上げてくれていると言っても良いかと思います。
強力なレンズ内手ブレ補正「VC(Vibration Compensation) 」
特に望遠端で撮影する際に有効なのが、レンズ内手ぶれ補正の存在です。
VC(Vibration Compensation)と呼ばれる手ぶれ補正機構は、手持ちでの望遠端撮影も難なくこなしてくれます。
AIテクノロジーの活用で、焦点距離70mm以下では動画撮影に最適化された効果も発揮されます。
筆者の愛機X-T5はボディ内手ぶれ補正も合わせて効きますので、このレンズとの組み合わせでの手ぶれ補正はどの焦点距離でも無敵感覚です。
コスパと資産価値充分なレンズ
メーカー希望小売価格は9万円台ですが、大手カメラ量販店では新品でも7万円台、中古では6万円台と機能から考えてもかなりコスパが良いレンズではないかと思います。
またこのレンズは2021年の発売で2025年現在でも中古買取額は4万円台くらいで安定しており、資産価値的にも持っておいて損はないレンズかと思います。
何より「コスパ最強高倍率ズームレンズ」と私は思っています。
※価格は2025年4月の「Map Camera」様の価格を参考にさせて頂いております。
価格は状況により日々変化致します。
TAMRON18-300mm
F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDのデメリット・注意点
このレンズを利用してきて感じた「ここはちょっと」な部分も包み隠さずお伝えしたいと思います。
AF性能に難あり
まずはオートフォーカス(AF)性能についてチクリ。
広角から標準域くらいまではオートフォーカスの決まり具合に問題は無いのですが、望遠域でのオートフォーカスが迷い続ける現象が起こります。
いきなり望遠域でピントを合わせようとすると被写体が大きくボケてしまい、フォーカス目標を失います。
かなり迷ってやっと被写体を捉えてピントが合う・・・といった感じです。
こんなときは一度広角側に少し戻してやるとピントが戻ってきます。そこから徐々に望遠側に持っていくとそのままフォーカスが決まりながらズームできる感じです。
あと暗い場所でのオートフォーカスも若干迷う傾向にあるかと思います。
基本的にF3.5始まりで明るいレンズとは言えないので、明るさにもオートフォーカスは左右されると言えます。
しかしフォーカスの迷いは毎回ではなく、被写体をはっきり捉えている時はカメラの被写体認識機能もしっかり動作しますし、フォーカスのきまり具合も良好と言えます。
最短撮影距離がAFの邪魔をする
これは最短撮影距離が0.15m(15cm)という事が逆に仇となる現象なのですが・・・
たまにブラックミストなどのフィルターを装着して広角端で撮影する際に、オートフォーカスがレンズのフィルター面にピントが合ってしまう現象が起こりました。
ブラックミストはガラス面に光を拡散するための粒状物質が散りばめられています。
この粒状物質にピントが合ってしまうとは、正直思いもしませんでした。
黒いつぶつぶが画面いっぱいに見えた時は、EVF(電子ファインダー)が故障したかと思いました(汗
他のサイトのレビューではレンズに付着したホコリにピントが合ってしまった・・・という報告も見受けられます。
まさに寄れるレンズの凄さを実感する現象ですが、正直予想外かつストレスを感じる現象であると思いました。
ズームの動作
ズームの操作感について、ズーム時の回転動作は滑らかとは言い難い操作感です。それゆえに、ズームする際にカクつきが生じる事があります。
ヌルっとした気持ち良いズーム感覚をイメージしている方には、残念なポイントかもしれません。
また鏡筒の素材はプラスチック樹脂のような素材なため、ズーム操作をするとスカスカと擦るような感じがします。
この操作感により影響を及ぼすと思われるのが、動画撮影におけるズーム操作です。
滑らかさが足りない事により、被写体への寄り映像などの撮影では、スムーズな寄りの表現がしづらいと思います。
実際に子供の発表会などで動画撮影した際に、子供をズームするのですがヌルっとした寄りに出来ず、カク、カクといった感じの寄りになってしまい、イマイチな動画となってしまいました。
70mmまでだと動画撮影に最適化したAF性能も搭載されているだけに、この点の作りには拘って欲しかったと残念に思います。
しかし静止画メインで使用する分にはさほど気にする部分ではないので、大きな問題ではないと思います。
屋内撮影には注意
AF性能の部分でも少し触れましたが、このレンズは開放F値が広角端で3.5、望遠端では6.3始まりまで暗くなります。
日中の屋外ではほぼ問題ないですが、屋内など元々暗い場所での撮影には露出の設定に気を使う必要があります。
レンズ内手ぶれ補正がある事はかなり有効的でシャッタースピードを落として明るさを稼いでも、手ブレをある程度軽減できるかと思いますが、状況によってはISO感度を上げざるを得ない場合も考えられ、画質に影響を及ぼすかもしれません。
実際に幼稚園の体育館での演劇発表の際に、照明演出などのため暗い状況下での撮影となりはかなり露出設定に苦労した覚えがあります。
幅広いズーム域を使いこなせるか
幅広いズーム域は広い焦点距離をカバーしているため、色んなシーンに対応できる正に万能レンズということが出来ます。しかし裏を返せばそれだけ表現の仕方が豊富で、それを引き出す事は容易ではないと思います。
何となく使っていると、宝の持ち腐れとなってしまう可能性も。
この一本でハーフマクロから始まり、広角でのダイナミックな風景や、標準域でのスナップ写真、中望遠でのポートレート、望遠での野鳥撮影などめちゃくちゃ引き出しが豊富なレンズです。
カメラを始めたばかりの方は、もしかしたら何を撮ればいいか迷ってしまうかもしれません。
私もまだまだこのレンズを使いこなしているとは言えませんが、このレンズを使う際にはこれだけの焦点距離の幅をどう活かすか一応考えて撮影に挑みます。
デメリットという訳ではないのですが、万能ゆえにどう撮るか、使いこなし方をよく考えて使うべきレンズかなと思います。
まとめ
TAMRON18-300mmF/3.5-6.3 Di III-A VC VXDのレビュー、いかがでしたでしょうか。
まさに高倍率の便利ズームレンズ。
イベント事や旅先でいろんなシーンを想定すると、持って行くレンズに迷いが生じますが、このレンズはそんな迷いを吹き飛ばしてこれ一本でいいと思わせてくれる心強いレンズです。
驚異的なズーム域は使っていて本当に楽しいし、次はどう撮ろうかなと良い意味で考えを与えてくれます。
みなさんもぜひ、高倍率ズームの世界に足を踏み込んでみてください。
カメラの可能性を体感できる、そんな素晴らしいレンズだと思いますので。
作例
最後にこのレンズで撮影した写真を載せておきます。
写真としての評価はともかく、高倍率ズームレンズでこんな写真が撮れるんだという例としてご笑覧ください。







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